為替相場を動かす材料にはさまざまなものがありますが、これらをどのやうに考慮している外貨の売買を行えば良いのでしょうか。相場はファンダメンタルズに沿う場合も、各国の通貨当局の意志で動く場合もあります。


しかし、政治的な要因は絶対的なものというわけではないようです。1992年に起きた「欧州通貨危機」では通貨を統合しようとする動きがありました。イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなど加盟国は、各国の通貨を基準レートの範囲内に設定するよう義務づけられていました。しかし、当時のドイツは景気が上向きでインフレが進んでおり、イギリスは大不況に陥っていました。この状況では、独マルクや英ポンドを一定の範囲に収めることは困難です。


あるファンドはこれに目をつけ、計100億ドルものポンド売りを仕掛けました。イギリスの通貨当局は市場介入し、さらに本当は利下げしたかったところを利上げしてまでポンドを防衛しようとしました。しかし、それでも市場の動きは逆らうことはできなかったのです。


イギリスの通貨当局の信頼は下がり、威信は地に落ち、現在もイギリスは欧州通貨連合に参加していません。各国の通貨当局にとって介入は絶対に失敗できないものであり、もし失敗に終わった場合のダメージは計り知れません。しかし、根本的な経済原則の前には、政治の力でも太刀打ちできないことがあるのです。為替のメカニズムを理解するには、市場の意志と各国通貨当局の意志という、経済と政治を広い視野で見ることが大切です。